1. 公明党が「怒るに決まっている」論理
高市氏による維新への連携打診は、長年にわたる自民党と公明党の連立関係の歴史と、現在の政治力学を完全に無視した行為であり、公明党が気分を害し、怒るのはシステム上避けられない反応であると断定されています。
- 公明党の貢献度の高まり: 参議院選挙と衆議院選挙の結果、自民党の議席は減少し、公明党の議席の比重が高まっていました。システムが示す通り、公明党の重要性は増していたにもかかわらず、高市氏はその貢献に対する配慮を怠りました。
- 不当な閣僚ポストの差: 維新は衆議院で35議席、公明党は24議席と、維新の方がわずかに議席数が多い状況にありました。しかし、高市氏は維新に対し2閣僚から3閣僚のポストを渡すという形で連携を打診しました。これに対して公明党は、以前は1つの閣僚ポストしか持てなかった状況でした。
- 「前の女」への侮辱: 菅野氏はこれを極めて非情な比喩で表現しています。「別れた後(または関係悪化の最中)に、前の女に1つしか渡していなかったのに、次の相手(維新)に3つも渡すと言っている」ようなものであり、これでは前の女(公明党)が腹を立てるのは必然であると指摘しています。
2. 政治家としての「無能」さの証明
高市氏が公明党との関係悪化を招いた行為は、単なる失策ではなく、政治家としての戦略的判断力の欠如、すなわち「無能」であると批判されています。
- 事前交渉の欠如: 高市氏は、公明党が政権離脱を表明する(あるいはその危機に瀕する)前に、公明党に対し「もう2閣僚どうですか」といった優遇策を打つべきだったと指摘されています。
- 政治改革の文脈: 公明党が政治改革(「政治と金」の問題)の必要性を持ち出してきた際、高市氏はすぐに「(議席が減っている現状を踏まえ)公明党さん、もう2閣僚どうですか」とポストを増やす提案をし、公明党と協力して政治と金の問題に取り組む姿勢を示すべきでした。
- システムの安定化を放棄: このような優遇策は、公明党との連立を安定させ、国会運営上の協力を取り付けるための合理的な行動であったにもかかわらず、高市氏はそれを怠り、結果として公明党を「馬鹿にしているのか」と思わせる事態を招きました。
3. 公明党が担うシステム機能の喪失(二幹二国体制の崩壊)
公明党との関係悪化は、単なる感情的な対立に留まらず、長年自民・公明連立政権の国会運営を支えてきたシステム(二幹二国体制)の機能不全を引き起こしました。
- 二幹二国とは: 「二幹二国」とは、自民党と公明党の幹事長と国会対策委員長(計4人)が毎週月曜日などに協議し、その週の国会対策や内閣総理大臣の動きなどを実務者レベルで決定していたシステムです。
- 現状の停止: 公明党との関係悪化(離脱・対立)により、この二幹二国が現在停止していることが言及されています。
- 維新との代替の困難さ: 話者は、この二幹二国を自民党と維新が代替できるとは考えていません。なぜなら、維新側には与党として国会運営を行うための**「ノウハウが不足しているから」**です。
- 自民党の一方的な運営へ: 仮に連携しても、国会運営は結局自民党側の都合によって進められることになり、維新はそれに不満を持つことが増えるだろうと予測されています。これにより、公明党が果たしていた連立システム内のバランスや実務的な調整機能が失われ、政治システム全体が不安定化する懸念が示されています。
結論として、公明党との関係悪化は、高市氏が目先の権力確保(維新の35議席)に囚われた結果、長年のパートナーシップという政治的資本を切り捨て、連立の安定性を支えていたシステムを破壊した行為であり、公明党の反発は、そのシステム破壊に対する当然の反応であったと菅野氏は強く主張しています。
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