「ドブ板選挙」の定義と現実 - 菅野完 朝刊チェック 文字起こし
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「ドブ板選挙」の定義と現実

選挙

菅野氏は、「ドブ板」という言葉を軽々しく使う人々に対して強い不快感を示しています。これは、彼らがこの言葉の厳密な意味合いや、それがかつて要求した過酷な実態を全く理解していないと考えているためです。

2025YouTube動画 11/6(木)朝刊チェック:だから立憲民主党は一生選挙に勝てない の情報を基にした記事です

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1. 「ドブ板選挙」の厳密な定義と現実

菅野氏にとって、真の「ドブ板」とは、単なる地道な活動を指すわけではありません。

  • 真の定義(過去の慣行): 厳密に言えば、「ドブ板」とは個別訪問と現金配付のことを指します。
  • 具体的な実態: 昔のドブ板選挙では、自民党の候補者が、選挙区内の全有権者に対して、共産党や公明党支持者の家などの「行ってはいけない家」に印(バルス印)をつけながら、それ以外の家を一軒ずつ訪問し、「よろしくお願いいたします」と言って5万円ずつ置いていくという活動が行われていました。これは何日もかけて行われる大掛かりなローラー作戦でした。
  • 不法行為であること: ソース中では、これは「そんなことしたらあかんねんけど、そんなこと昔はやってた」行為であったと説明されています。

このように、菅野氏が理解する「ドブ板」は、多大な労力、時間、そして資金(現金配付)を伴う、非常に過酷な活動(かつての日本では禁止されていた側面も含む)でした。したがって、菅野氏は「お前らドブ板なんかできひんて」と述べています。

2. 田中角栄のドブ板作戦

「ドブ板」の実例として、田中角栄が総裁選挙で行った作戦も挙げられています。これは個別訪問と現金の配布(総裁選のため現金配布の言及はないが、組織的なローラー作戦)を伴う、途方もない規模の活動でした。

  • 人海戦術: 田中派の国会議員の秘書(500人から700人)が、北海道と沖縄に分かれました。
  • 広範なローラー: 彼らは14日間かけて、北海道から沖縄まで、自民党の党員がいる場所を地図上でチェックしながら一軒ずつ歩いて回りました。

菅野氏は、こうした過酷で、多大な準備を必要とする活動こそが本来の「ドブ板」であるため、**「お前ら ドブ板なんかできひんて」**と述べ、安易にこの言葉を使う人々を批判しているのです。

3. アメリカにおける個別訪問の基本的な位置づけ

選挙経験のない人々(こたつ型)が、アメリカの選挙で個別訪問が行われているのを見て、それを日本の文脈での「ドブ板」だと誤解し、安易にこの言葉を使うことに対して強い批判を加えています。

アメリカの選挙活動において、個別訪問は特定の過酷な戦術ではなく、選挙活動の基本そのものであると説明されています。

  • 基本戦略: アメリカの場合、個別訪問は単に「OK」な選挙運動の手法なのではなく、選挙の基本なのです。
  • 普遍的な活動: マムダニ氏の選挙(ニューヨーク市長選)で見られた個別訪問活動は、みんながやっていることであり、古い政治家やクオモのような大物候補者も含め、アメリカでは基本的に一般のボランティアが個別訪問を担当します。
  • 目的: 個別訪問の最大の目的は、有権者に「うちの候補者に投票してください」と依頼することですが、会話を続けるために、集会への招待や政策に関する意見聴取、そして有権者の反応の分析も行われます。

4. 日本の「ドブ板」との決定的な違い

話者は、アメリカの個別訪問が、かつての自民党が行った日本の「ドブ板」とは質的に異なると指摘しています。

  • 現金の有無: 昔の日本の「ドブ板」が個別訪問と現金配布(5万円ずつ置いていくなど)を厳密な意味としていたのに対し、アメリカの個別訪問では「さすがに金は置いていかへん」と明確に区別されています。
  • 街頭演説の有無: アメリカの選挙では個別訪問が基本であるため、日本のように、滅多なことがない限り辻説法(街頭演説)はしません
  • ボランティアへの対価: アメリカでは、ボランティアが活動する際にも、日本とは違い、「田舎者」のように「ボランティアのくせに金をもらっておかしい」と言う人はおらず、きちんと金が払われていることが指摘されています。

5. 「ドブ板」を安易に使う人々への嫌悪

菅野氏は、選挙戦を経験していない人々や、自宅のコタツに座って評論するような人々、ネット軍師が、すぐに「ドブ板」という言葉を使うことに批判的です。

菅野氏が「ドブ板」を嫌う主な理由は以下の通りです。

  1. 定義の誤解と矮小化: 「アホ」な人々は、単に候補者が毎日街頭に立って演説すること(辻説法) や、アメリカの選挙で見られる一般的なボランティアによる戸別訪問を、すぐに「ドブ板だ」「ドブ板が足りない」と評します。菅野氏は、こうした行為は選挙活動において当たり前のことであるか、あるいは「ドブ板」が持つ厳密な意味からかけ離れたものであるとして、「ドブ板って簡単に言いすぎやねんて」と指摘しています。
  2. 知識の浅さと無責任な要求: 野党の選挙戦術について議論する際、「野党はドブ板が足りない」「自民党のドブ板を真似ろ」と簡単に要求する人々がいます。菅野氏は、彼らが自民党が過去に行ったような真のドブ板(個別訪問と現金配付)がどれほどの準備と労力を必要とするかを知らないにもかかわらず、その言葉を軽々しく使う態度を嫌っています。

要するに、菅野氏は、真剣な政治活動や選挙戦の現実を知らずに、その言葉の重みや背景を理解せず表層的な意味合いで「ドブ板」という専門的な用語を持ち出す無責任な態度に強い嫌悪感を抱いているのです。彼らにとって「ドブ板」は、その言葉が持つ歴史的な実態を知れば安易に口にできないほどの、重い、あるいは異常な努力を意味する言葉なのです。

余談

昔の野党の強力な武器として郵便局の労働組合について語っている内容は、真の地域密着型情報ネットワークの重要性と、それが現代には失われた選挙戦術であったことを示しています。

菅野氏は、「ドブ板」という言葉を安易に使う人々への批判と関連させつつ、昔は野党も「ドブ板」をやっていたものの、その手法は自民党(個別訪問と現金配布)とは異なっていたと説明しています。

1. 昔の野党の「強力な武器」の正体

かつての野党にとって、地域を細かく把握するための「ドブ板」活動を支えたのは、**郵便局の労働組合**でした。

  • 最強の理由: 話者は、この郵便局の労働組合を「もっと強力な武器」であり、「最強でしょ」と評価しています。なぜなら、彼らは日常的に地域の詳細な情報に接していたからです。
  • 具体的な活動: 郵便配達員(郵便屋さん)が、普段使っているバイク(カブ)に候補者を乗せ、地域中を回るという選挙活動が行われていました。

2. 郵便局が保有していた「地域の詳細情報」

郵便局の労働組合が強力な武器となり得た最大の理由は、地域の詳細な情報(表情報)を完璧に把握していた点にあります。

  • 情報範囲: 郵便屋さんは、名前、地域の名前、地図、そして表情報が完全に頭に入っていたとされています。
  • 家族構成の把握: さらに驚くべきことに、彼らは「どこに誰の家があるかだけ」でなく、その家に誰(おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん、息子さん、娘さん)が住んでいるかといった家族構成まで知っていたのです。

これは、自民党が人海戦術で全戸地図を塗りつぶしながら回る(個別訪問と現金配布)戦略をとっていたのに対し、野党側は、地域の生活に深く根ざしたプロフェッショナルのネットワークを利用することで、極めて精度の高い個別アプローチを可能にしていたことを示しています。

この話は、インターネット以前の「昭和の昔」において、野党が自民党に対抗するために用いていた、地域密着の情報を活用した高度な組織戦術の一端を具体的に示していると言えます。

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