原発=マッサージチェアの衝撃。TCP/IPと中国に学ぶ「亡国論」 | 菅野完 朝刊チェック 文字起こし
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「天は我々を見放した」――アフリカで石を積む中国、カルト化する日本。TCP/IPから読み解く亡国のシステム論


2026/1/23(金)朝刊チェック:維新とかいう社会の害悪について

私が菅野完でございます。1/23(金)朝刊チェックの時間がやってまいりました。頑張っていかなあかんなぁ~言うてるところなんですけど

記事の要約と図解

【結論】 本記事は、映画『八甲田山』の絶望的なセリフを入り口に、日本の「システム不全」を多角的に解剖します。 インターネットや欧州のエネルギー政策が、戦争に強い「分散型」へと進化する中、日本はいまだに攻撃に脆弱な「原発(集中型)」に固執しています。その姿は、アフリカで「重力発電」という最新の分散システムを普及させる中国とは対照的であり、まるでコントのように「原発だぁ」と太鼓を叩き続ける宗教的カルトに陥っていると警告します。

【ポイント3選】

  • 「分散」こそが最強の防衛:欧州やインターネットの思想は、中央を持たないことで攻撃を無効化する「生存戦略」に基づいている。
  • 中国の合理的イノベーション:送電網のないアフリカで、中国は「太陽光×重い石(重力発電)」という柔軟なシステムを実装し、市場を制覇している。
  • 日本は「志村けん」化している:世界が進化する横で、「ベースロード電源が必要だ」という古い経典を唱え、思考停止の踊りを続けている。

「天は我々を見放した」――アフリカで石を積む中国、カルト化する日本。TCP/IPから読み解く亡国のシステム論

映画『八甲田山』をご存知でしょうか。
高倉健と北大路欣也が主演した、あの名作です。
極寒の雪山で、指揮系統の混乱と現実認識の甘さから部隊が壊滅していく様を描いたこの作品で、北大路欣也演じる神田大尉が発する、あまりにも有名なセリフがあります。

「天は我々を見放した」

史実では、この言葉を指揮官が口にした瞬間、絶望した部下たちはバタバタと倒れ、死んでいったそうです。
指揮官として、絶対に口にしてはいけない言葉。しかし、今の日本の政治やインフラ議論を見ていると、私はこの言葉を思い出さずにはいられません。

我々は今、「現実的だ」という言い訳の下で、思考停止の雪中行軍を続けているのではないか。
今回は、「インターネット(TCP/IP)」「マッサージチェア」、そして「中国のアフリカ戦略」という視点から、この国が陥ったカルト的な「システム不全」を徹底的に解き明かします。


1. なぜインターネットは「最強」なのか? 戦争が生んだ分散思想

まず、皆さんが今使っているそのスマホやPCが、どうやって情報をやり取りしているか考えてみてください。
私と皆さんの間には糸電話は繋がっていません。あるのは「インターネット(TCP/IP)」という通信プロトコルです。

「中央」を破壊されたら終わり

なぜ、この技術が世界を制覇したのか。AmazonもNetflixもこれなしでは存在しません。
その理由は「便利だから」だけではありません。「死なないから」です。

インターネットの起源は「ARPANET」という米軍の研究にあります。
冷戦時代、アメリカは恐怖していました。「もしソ連から核ミサイルを撃ち込まれ、軍の中央司令部が破壊されたらどうするか?」。
中央の交換局が全てを制御する「中央集権型」のネットワークでは、真ん中(ハブ)を一発殴られれば、国中の通信が死にます。それでは戦争に負ける。

生存のための「分散型ネットワーク」

そこで編み出されたのが、「中央を作らない」という発想です。
網の目(Web)のように通信路を張り巡らせ、情報の小包(パケット)が自律的にルートを探して届く仕組み。これなら、たとえ東京が消滅しても、通信は生き残る。
つまり、インターネットとは「敵に攻撃されても生き残るための軍事技術」として設計された「分散型ネットワーク」なのです。


2. ザポリージャを見よ。「原発」は安全保障上の弱点である

この「分散こそが最強」という軍事的リアリズムを、現代のエネルギー問題に当てはめてみましょう。
見落とされがちなのが、ウクライナ侵攻における「ザポリージャ原子力発電所」の存在です。

1. 巨大な人質としての原発

ウクライナ戦争において、我々は常に「ザポリージャ原発が攻撃されたらどうなるか」という恐怖を突きつけられています。
巨大な発電所があること自体が、敵にとっての格好の標的になり、守る側にとっては「巨大な弱点(アキレス腱)」になっているのです。

2. 欧州が再エネに向かう真の理由

欧州各国が太陽光や風力といった「分散型電源」に舵を切っているのは、環境問題のためだけではありません。「戦争に強いから」です。
原発のような「中央集権型」は、そこを叩かれれば国が死にます。
しかし、風力や太陽光が分散して配置されている「インターネット的構造」ならば、一箇所が破壊されてもシステム全体はダウンしない。
「分散型エネルギーへのシフト」とは、現代における最強の防衛政策なのです。

3. 「国防族」の矛盾:答えは60点

ここで日本の自称「保守派」「安全保障論者」たちの矛盾が浮き彫りになります。
彼らは「中国や北朝鮮のミサイルが脅威だ!」と叫びながら、その敵の目の前(日本海側)に、攻撃されたら一発で終わる「原発」という巨大な爆弾を自ら並べています。

「敵が攻めてくる」と言いながら弱点をさらけ出す。私が採点するなら、この安全保障論は「60点(不合格)」です。
本当に国防を考えるなら、標的を分散させることこそが「リアリズム」ではないでしょうか。


3. 原発は「6畳一間のマッサージチェア」である

軍事だけでなく、生活の視点からも原発の非合理性を指摘しましょう。
いまだに「ベースロード電源が必要だ」としがみつく姿勢は、直感的に理解できるメタファー(比喩)で言えばこういうことです。

原発とは、日本の狭いウサギ小屋に置かれた「巨大な高級マッサージチェア」です。

快適さの代償としての「生活破壊」

家電量販店で気持ちよさそうに眠るお父さんを見て、「家にあったらいいな」とマッサージチェアを買ってしまう。
しかし、6畳の和室にあの巨大な物体を置いたらどうなるか?

  • 物理的に邪魔: ちゃぶ台を置くスペースがなくなり、家族団らんが消滅する。
  • 夜間の凶器: 夜中にトイレに行こうとして、突き出したフットレストに足の小指を強打し、悶絶する。

「原発再稼働が現実的だ」と主張する人々は、このお父さんと同じです。
「マッサージチェア(原発)を置くために、生活(国民の安全や国土の利用)を犠牲にする」という本末転倒が起きている。
それを「高い金を出して買ったんだから(サンクコスト)」と言って、毎日足の小指をぶつけながら生活している。それが今の日本です。


4. アフリカで「石」を持ち上げる中国、「太鼓」を叩く日本

最後に、ビジネスとイノベーションの話をします。
日本が思考停止している間に、世界はどう動いているのか。
隣国の中国を見てください。彼らはアフリカで何をしているか。

中国の合理的イノベーション:太陽と石

アフリカには、日本のような立派な送電網(グリッド)がない地域がたくさんあります。
そこで中国企業は、「大規模な発電所と送電線」を作るのではありません。
「太陽光発電」と「重力発電」を組み合わせた分散型システムを普及させているのです。

仕組みは驚くほど原始的かつ合理的です。

  • 昼間、余った太陽光電力を使ってモーターを回し、「重い石」を塔の上に持ち上げる(位置エネルギーとして保存)。
  • 夜や電力が必要な時に、その石を落下させてモーター(タービン)を回し発電する。
  • あるいは、余剰電力を「熱」に変えてためておき、夜間の暖房や海水の淡水化に使う。

送電網がいらない。燃料もいらない。あるのは「太陽」と「石」と「重力」だけ。
この柔軟なシステムを持ち込み、中国は現地で感謝され、ビジネス的にも市場を制覇しています。

日本の「志村けん」化

ひるがえって、我が日本はどうでしょうか。
技術立国を自称しながら、いまだに「ベースロード電源が必要だ!原発が必要だ!」という20世紀の古い理屈を、まるで壊れたレコードのように繰り返しています。

その姿は、まるで宗教やカルトです。
あるいは、志村けんのコントを見ているようだ。
太鼓を叩きながら、「だいじょぶだぁ〜、原発だぁ〜、うぇ〜い」と思考停止の踊りを踊っている。

日本がコントを演じている間に、中国は合理的なイノベーションで世界を席巻し、ビジネスチャンスを根こそぎ奪っています。
「原発がないと電力が安定しない」というのは、イノベーションを怠った者の言い訳に過ぎません。
制約があるなら知恵を絞る。それが技術であり、ビジネスでしょう。

結論:雪山で立ち止まるな

指揮官が「天は我々を見放した」と嘆く時、それは天のせいではありません。
環境の変化に対応できず、古い装備(原発・ベースロード電源)と古い戦術(安価な労働力依存)に固執した、指揮官の無能さが招いた結果です。

ザポリージャの恐怖、マッサージチェアの不便さ、そしてアフリカで石を積む中国の成功。
これら全ての事実は、「分散型への移行」こそが唯一の生存ルートであることを示しています。

さあ、いつまで太鼓を叩き続けますか?
マッサージチェアを粗大ゴミに出し、新しいシステムへと足を踏み出す覚悟はありますか?

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