【真相】自公が絶対合併できない数学的理由と田中角栄の参院選戦略 | 菅野完 朝刊チェック 文字起こし
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田中角栄が喝破した「権力の源泉は参院にあり」──2028年予測から見る自公システムの正体

2026/2/16(月)朝刊チェック:田中角栄が喝破した「日本の権力の源泉は参院である」という一言の重み

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記事の要約と図解

【結論】 田中角栄が遺した「権力の源泉は参院にあり」という言葉は、現代においてこそ重みを増しています。2028年の参院選試算が示す自民党の苦境、そして「なぜ自民と公明は30年も連立しながら合併しないのか?」という問いへの答えは、すべて「参議院比例代表(非拘束名簿式)」の冷徹な数学的メカニズムにあります。この仕組みを無視した野党共闘論や政界再編論は、単なる素人の空論に過ぎません。

【ポイント3選】

  1. 数の論理: 首相を選ぶのは衆院だが、法案を通し権力を維持する「実弾」は参院、特に32ある「1人区」の勝敗にある。
  2. 合併の不可能性: 参院比例(非拘束名簿)で自公が合併すれば、圧倒的集票力を持つ公明党(創価学会)候補が上位を独占し、自民党の集票マシーン(業界団体)が全滅する。
  3. 野党の誤算: 立憲や国民が公明と組む「中道改革連合」も同様の理由で破綻する。労組の組織内候補が学会票に埋没し、議席を失うからだ。

■ 【徹底解説】田中角栄が喝破した「権力の源泉は参院」の真意と、自公が絶対合併できない「数学的理由」

共同通信が出した2028年参議院選挙の試算が、永田町に波紋を広げている。結論から言えば、自民党にとって悪夢のような数字だ。たとえ32ある「1人区」を自民党が全勝したとしても、単独過半数には届かないというシミュレーションが出たからだ。

衆院選でバカ勝ちしようが、首相指名を受けようが、そんなものは一時の祝祭に過ぎない。
政治のプロが最後に見るのは「参議院の数」だ。

今日は、田中角栄が口を酸っぱくして説いた「日本の権力の源泉は参院である」という言葉の本当の意味と、なぜ自民党と公明党が30年も連立を組みながら絶対に「一つの政党」になれないのか。その構造的な理由を、参議院選挙独自のシステムである「非拘束名簿式」のメカニズムから解き明かしていく。

これを読めば、巷で語られる「野党結集論」がいかに浅はかな素人の思いつきであるかが、嫌というほど分かるはずだ。

1. 田中角栄の遺訓「権力の源泉は参院にあり」

まず、基本の「き」から叩き込んでおこう。
多くのメディアや有権者は、首相を選ぶ衆議院選挙ばかりに注目する。だが、田中角栄は全く違った。彼は「日本の権力の源泉は参議院である」と断言していた。

なぜか?
究極のところ、政治は「数」だからだ。
どれだけ衆院で威勢のいいことを言っても、参院で過半数を持っていなければ、法案は通らない。予算も通らない。国会同意人事も止まる。つまり、何も決められない「死に体」の政権になる。

1-1. 勝敗を決するのは「1人区」のみ

では、参院選で勝つためにはどうすればいいか。
答えはシンプルだ。「1人区」を制することだ。

参議院選挙の選挙区定数において、改選数1の「1人区」は32ある。
かつて自民党の田中派や佐藤派が強かった時代、彼らはこの1人区で勝つことを至上命題としていた。だからこそ、野党が統一候補を立ててこないよう、公明党や民社党を裏で巧みに転がし、分断工作を行っていたのだ。

「1対1」の構図を作らせない。これがかつての自民党の英知であり、田中角栄のリアリズムだった。
今回の共同通信の試算が衝撃的だったのは、仮にその「1人区」で自民党が全勝したとしても、全体では過半数に届かないという構造的な脆さが露呈したからだ。

2. なぜ自民と公明は30年経っても「合併」しないのか?

ここで一つの疑問が浮かぶ。
これだけ選挙協力をし、30年近くも連立政権を組んでいる自民党と公明党だ。「もう一緒の政党になればいいじゃないか」と思う人もいるだろう。これまではセフレだったけど、もう籍を入れたらどうだ、と。

しかし、彼らは絶対にそれをしない。しなかったのではなく、できなかったのだ。
その理由こそが、参議院選挙の比例代表制度、「非拘束名簿式」にある。

2-1. 「非拘束名簿式」という名の生存競争

参議院の比例代表は、衆議院と違って「候補者の個人名」を書くことができる。そして、個人名の得票数が多い順に当選していく仕組みだ。

ここで、自民党と公明党の支持基盤の違いを思い出してほしい。

  • 自民党: 郵便局長会、医師会、農協、建設業界などの「業界団体」が票をまとめる。
  • 公明党: 創価学会という鉄の結束を誇る「宗教組織」が票をまとめる。

もし、この二つの政党が合併して、一つの比例名簿を作ったらどうなるか。

2-2. 業界団体候補の「全滅」シナリオ

シミュレーションしてみよう。
公明党の候補者は、学会員の強力な集票活動により、個人名で数十万票、時には100万票近くを獲得する力がある。
一方で、自民党の業界団体候補(例えば医師会や看護連盟の代表)は、組織の締め付けで票を集めるが、その数はせいぜい10万〜20万票程度だ。

これらを「同じ名簿」に入れて、「得票数順」で並べたらどうなるか。
結果は火を見るより明らかだ。上位はすべて公明党(創価学会)系の候補で埋め尽くされる。
そして、自民党の集票マシンである日本医師会や全国農政連の代表は、当選ラインに届かず次々と落選することになる。

自民党が公明党と合併しないのは、思想信条の違いなどという高尚な理由ではない。
合併した瞬間、自民党を支える「業界団体」の議席が消滅してしまうからだ。自分たちの手足をもぐことになる自殺行為だからこそ、彼らは頑なに別々の政党であり続ける必要があったのだ。

3. 野党再編論の「致命的な浅はかさ」

この構造は、野党側にもそのまま当てはまる。
最近、「立憲民主党や国民民主党も、公明党と組んで『中道改革連合』を作ればいい」などと言う人がいるが、これも選挙制度を知らない素人の戯言だ。

3-1. 連合の組織内候補が消える日

仮に、立憲民主党(バックに連合)と公明党(バックに創価学会)が名簿を一本化したとしよう。

辻元清美や蓮舫のような、無党派層にも名前が売れている「知名度抜群」の候補者は生き残るかもしれない。
しかし、連合加盟の産別労組(JP労組、基幹労連、情報労連など)から出ている組織内候補はどうなるか。

彼らの得票構造は、自民党の業界団体と同じだ。
組合員が組織的に入れる票数には限界がある。そこに、創価学会という圧倒的な「数」を持つ集団が同じ名簿に入ってきたら、労組の候補者はひとたまりもなく弾き出される。

つまり、野党と公明党が名簿を一本化すれば、連合の組織内議員は全滅する。
連合がそんな自殺行為を認めるわけがない。だから、制度上、政党としての合併や完全な名簿統合は不可能なのだ。

4. 結論:小沢一郎の沈黙とリアリズム

かつて小沢一郎は、こうした選挙の数理を誰よりも理解していた。
だからこそ、彼は「野党共闘」において、無理な合併ではなく、選挙区ごとの調整や統一名簿の工夫に腐心してきたはずだ。

今の野党周辺で、こうした「参議院の数理」に基づいた緻密な絵を描けている人間がどれだけいるだろうか。
衆院選の小選挙区のことばかり考え、参院選の1人区の重要性や、比例代表の残酷なメカニズムを無視して「大きな塊」を作ろうとしても、それは砂上の楼閣に過ぎない。

「政治は数である」
この田中角栄の言葉は、単なる精神論ではない。選挙制度というルールブックを骨の髄まで理解し、その上でどうやって「過半数」という絶対的な権力を握るかという、極めて技術的で冷徹な実務の話なのだ。

2028年に向けて、自民党の基盤が揺らいでいるのは間違いない。
しかし、その隙を突くべき野党側が、この「参院のメカニズム」を理解しないまま感情論で動いている限り、真の権力奪取は夢のまた夢である。

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