総理大臣への「デイサービス」?高市総理の答弁修正がなぜこれほど問題なのか、いちから解説 | 菅野完 朝刊チェック 文字起こし
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総理大臣への「デイサービス」?高市総理の答弁修正がなぜこれほど問題なのか、いちから解説

導入:前代未聞の「答弁修正」劇

2025/11/27(木)朝刊チェック:国益って何かね?

国の重要政策を議論する「党首討論」の場で、野党の重鎮が総理大臣の発言をその場で「修正」させる——。これは、極めて異例であり、総理にとっては屈辱的とも言える前代未聞の事態です。

この出来事は、単なる政治的な駆け引きではありません。日本の外交・安全保障の根幹に関わる深刻な問題を浮き彫りにした、象徴的なワンシーンでした。

なぜ、高市総理の答弁はこれほどまでに問題視されたのでしょうか?そして、なぜ野党は「助け舟」を出すという形で、異例の修正劇を主導したのでしょうか。菅野氏は、この答弁修正が持つ2つの重大な問題点を、いちから分かりやすく解説します。

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1. 何が問題だった?修正された2つの重要答弁

高市総理が修正を余儀なくされたのは、「台湾」と「非核三原則」に関する2つの発言です。どちらも日本の外交・安全保障の根幹をなすテーマであり、総理大臣の発言には極めて慎重な姿勢が求められます。

1.1. 台湾をめぐる「前のめり」な発言

高市総理は以前、台湾を「友人の国」と表現するなど、これまでの日本政府の方針から逸脱するかのような「前のめりな姿勢」を見せていました。これに対し、元総理大臣でもある立憲民主党の野田佳彦氏は、党首討論の場で自身の失敗談を引き合いに出し、「助け舟」という形で修正を促しました。

野田氏は、自身が総理時代に日中関係を悪化させた経験を踏まえ、「俺みたいになったらあかんねんで」と諭され、高市総理は「聞かれたから答えたまでで、政府の答弁はこれまでのと一緒です」と述べ、事実上の答弁修正に追い込まれました。

一国のトップが、他党の元総理から公の場で子供を諭すように 警告され、答弁を修正する。この光景は、菅野氏は「死んだ方がええぐらい恥ずかしい」と評されるほど、屈辱的なものでした。

1.2. 非核三原則をめぐる「アンバランス」な姿勢

もう一つの問題は、日本の国是である「非核三原則」に関する発言です。高市総理は自身の著書などで、非核原則が見直し可能であるかのような姿勢を示していました。

この点を厳しく追及したのが、公明党の斎藤哲夫氏です。斎藤氏は、東京工業大学からプリンストン大学の研究所へ進んだ経歴を持ち、その気になれば「核兵器を作れるほど」の専門知識を持つ「核の専門家」。その専門家の立場から、「唯一の戦争被爆国の総理として、その姿勢はアンバランスではないか」と、強い懸念を表明したのです。

専門家からの重い指摘を受け、高市総理は最終的に、非核三原則を「政策上の方針として堅持」し、「歴代内閣と全く同じ立場」であると表明。こちらも、従来の政府方針に沿う形で答弁を修正することになりました。

要点まとめ:問題発言と政府の公式見解

高市総理の2つの問題発言と、修正後の政府公式見解を以下の表にまとめます。

問題点高市総理の当初の姿勢修正後の政府公式見解なぜ重要か?
台湾問題台湾を「友人の国」と表現するなど、従来の政府方針から逸脱する前のめりな姿勢。「聞かれたから答えたまで。政府の答弁はこれまでのと一緒」と表明し、従来路線を再確認。繊細なバランスの上に成り立つ外交関係を揺るがし、予期せぬ経済的損失を招く危険性があるため。
非核三原則著書などで非核原則の見直しを示唆するような「アンバランス」な姿勢。非核三原則を「政策上の方針として堅持する」と明言し、「歴代内閣と全く同じ立場」であることを確認。唯一の戦争被爆国としての日本の国際的立場と信頼を根底から揺るがす危険性があるため。

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これらの修正は、単なる政治的な駆け引きではありませんでした。それは、総理の発言がすでに国益に具体的な損害を与えており、政府内部の危機を表層化させたことに対する、必死のダメージコントロールだったのです。

2. なぜ野党が「助け舟」を?前代未聞の事態の裏側

なぜ、本来は政権を追及する立場である野党が、わざわざ党首討論という貴重な時間を使ってまで、総理に「助け舟」を出したのでしょうか。その背景には、看過できない国益の損失と、政府内の深刻な機能不全がありました。

2.1. 6兆円の国益損失と「官僚の悲鳴」

菅野氏の分析によると、高市総理の台湾に関する「前のめり」な答弁の結果、ホタテの輸出減少や観光客の落ち込みなどが発生し、わずか1〜2週間で**「6兆円」もの経済的損失**が生じたと指摘されています。これは大阪万博2つ分に相当する、驚くべき金額です。

この甚大な国益の損失を前に、政府を実務で支える外務省が、自力では総理の言動を制御できなくなっていた——。菅野氏は、もはや答弁修正の機会が党首討論しかないという緊急事態の中、外務省が野田氏や斎藤氏に対し、**「すんませんけどもやってもらえませんかと泣きついた」**という、極めて強い推測を示しています。

これは、政府が自らのトップをコントロールできず、野党に助けを求めなければ国家の方針を維持できないという、極めて「情けない」事態が起きていたことを示唆します。

2.2. 政策論争「以前の問題」

日経新聞の社説が「責任ある政策論争」を求めていたにもかかわらず、この一連のやり取りが浮き彫りにしたのは、その理想とはかけ離れた現実でした。

野田氏や斎藤氏が担った役割は、高市総理と政策の是非を競うことではありませんでした。それは、国のトップとして逸脱してはならない基本線を守らせるための、いわば**「その前の話」**だったのです。総理が、政策論争に参加するための最低限の条件を満たしていない、という異常な状況がそこにはありました。

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これは政策論争ではなく、国会という舞台で行われた「補習授業」でした。菅野氏はこの異常事態を捉えるために、ある痛烈な比喩を用いています。それは、この出来事が政治的な対決などではなく、もっと憂慮すべき何かであったことを示唆しています。

3. 結論:これは国会審議ではなく「デイサービス」だった

この前代未聞の答弁修正劇の本質は、一体何だったのでしょうか。菅野氏が比喩を借りて結論付けます。

  • 「異常者」と「健常者」の対比 菅野氏は、高市総理を「異常」な状態にあるとし、それを修正した野田氏や斎藤氏を「まともな健常者」と位置づけています。つまり、これは政策の対立ではなく、健常者が異常な状態にある人を諭す、という構図だったと厳しく指摘しています。
  • 「デイサービス」の比喩 さらに痛烈なのが、「デイサービス」という比喩です。この比喩によれば、高市総理は「鼻水を垂らし、シャツのボタンも開けたままご飯を食べている」人のようであり、野党の役割は、**「『1回座りなさい。手を拭きなさい。ボタンを止めなさい』と教えるようなもの」**だったと皮肉られています。国の最高レベルの議論の場が、まるで介護施設のような役割を担わされていたというのです。

この光景は、単に一人の政治家の資質の問題だけではありません。菅野氏の分析によれば、野田氏や斎藤氏が「すごいように見える」こと自体が、安倍政権以降の自民党政治家の質の低下を反映していると指摘されています。つまり、政治全体の基準が低下した結果、基本的な国政の原則を野党が再教育せざるを得ないという、より根深い構造問題の表れなのです。

為替への言及が市場を混乱させたように、今回の答弁もまた、高市総理の政治家としての不安定性が**「明確に国益を損ねている」**ことを示す決定的な事例となりました。この一連の出来事は、日本の政治が抱える深刻な問題を、多くの国民の前に露呈させることとなったのです。

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