2026/1/10土曜雑感:高市首相、衆院解散を検討
序文
年明け早々、永田町に激震が走った。読売新聞が放った「高市首相、衆院解散を検討」との一大スクープは、政界関係者の電話を早朝から鳴らし続けた。1月23日の通常国会冒頭での解散、そして2月総選挙――。だが、この一見強気な動きの裏には、致命的な欠陥が潜んでいる。これは現実的な計画などではなく、むしろ政治的資本を失い、追い詰められた首相が党内の反応を窺うために放った観測気球に過ぎない。その非現実的な日程と克服不可能な党内力学を、冷徹に解き明かしていこう。
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1. 衆院解散報道と日程の非現実性
政治、とりわけ首相が持つ最大の権力「衆議院解散」においては、タイミングと日程こそが全てだ。今回報じられたスケジュールは、その内実を精査すれば、政治的・手続き的な論理を著しく欠いている。まず、この日程そのものが抱える致命的な矛盾点から見ていかなければならない。
1.1. 報道の概要:1月解散・2月総選挙説
読売新聞の報道の核心は、高市首相が1月23日に召集される通常国会の冒頭で衆議院を解散し、2月に総選挙を行うことを検討している、というものだった。支持率が高い今のうちに勝負をかける「冒頭解散」は、過去の強いリーダーが用いてきた手法である。
1.2. スケジュールの矛盾:予算成立期限という壁
しかし、このスケジュールには根本的な欠陥が存在する。国家の最重要課題である年度末(3月31日)までの予算成立という絶対的な期限だ。2月に選挙を行い、国会を再召集し、開会式や所信表明演説といった儀式を終えれば、予算案を審議する時間は極端に圧迫される。参議院での審議時間を逆算すれば、衆議院に残された審議時間は、実質的にわずか1週間しかないのである。
1.3. 勝利条件のハードル:なぜ「3分の2」の絶対多数が必要なのか
この「針の穴にラクダを通すような」タイトな日程を強行するためには、尋常ならざる選挙での勝利が求められる。単なる過半数確保では全く話にならない。
参議院で予算案が否決、あるいは審議が遅延した場合でも、衆議院で再可決すれば予算を成立させることができる。だが、この伝家の宝刀を抜くためには衆議院で3分の2以上の議席、すなわち絶対安定多数が必要なのだ。1週間という短期間で予算審議を打ち切り、参議院のいかなる抵抗をも排除して年度内成立を「保証」する唯一の手段が、このスーパーマジョリティなのである。
選挙で単に勝つことと、3分の2の議席をもぎ取ることは、生駒の山に登るのとエベレストに挑むくらい、次元の違う話なのだ。この手続き上の困難を乗り越えるには、エベレスト級の歴史的大勝利が不可欠となる。そして、その政治的条件は、現状の自民党にとって絶望的に高い壁なのである。

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2. 自民党の選挙基盤と公明党の不在
選挙は、党首の人気だけで勝てるものではない。支持を具体的な票へと転換させる、地上戦を担う強固な選挙マシーンの存在が不可欠だ。この点で、連立パートナーであった公明党を失った現在の自民党は、その基盤が深刻に崩壊している。この現実こそが、3分の2という途方もない目標を不可能たらしめている。
2.1. 集票システムの崩壊:失われた公明党の「オペレーション」
公明党の離脱が意味するのは、単に創価学会の票が失われたことだけではない。本質的な損失は、公明党が担ってきた**「オペレーション」と「ロジスティクス」の完全な喪失**である。演説会の設営、聴衆の動員、当日の交通整理から後片付けまで、選挙活動のあらゆる実務を担っていたのは公明党の地方組織だった。彼らは、自民党自身が実行能力を持たない、選挙の地上戦における兵站と実働部隊そのものであったのだ。
2.2. 自民党支持層の脆弱さ:実務を担う中間層の不在
では、自民党自身の支持層はどうか。その構造は極めて偏っている。現場仕事はしない富裕層エリートか、あるいは「鼻水から脳みそが流れ出てるようなキチガイ」しかいない。この両極端な支持層には、選挙キャンペーンという泥臭い実務を着実に遂行できる、有能な中間層が決定的に欠けている。その結果、現場で手を動かす人間がいないという致命的な弱点を抱えているのだ。
2.3. 高市氏の人気と実態:「ロジスティクス」の欠如
こうした状況下で、高市首相個人の人気にどれほどの価値があるというのか。人気はあろう。だが、その人気を票に結びつけるための**「ロジスティクス」がなければ戦略的に無意味**だ。有権者の前に高市首相を効率的に運び、その姿を見せるための「オペレーション」を組む人間がいないのだから。
公明党なしで3分の2の議席を取ろうなどというのは、菅野完でどうやって貝満ひとみを満足させるのかだ。それは、もはや**「マライア・キャリーなしのクリスマス」**に等しい。絶対に成立し得ないということだ。目標達成が不可能なのに、なぜ解散の話が浮上するのか。そこにこそ、この報道の裏にある真の意図を探る鍵がある。
2.4.創価学会800万票 vs NISA 1200万票:安倍晋三が遺した「真の怪物」とリベラルの自滅
日本の政治風景は、かつて誰も予想しなかった形で変質してしまった。自民党の集票マシーンの崩壊と、それに代わって台頭した「金」でつながる巨大な利益集団。そして、その虎の尾を踏んだ野党の愚行。
この構造変化を理解せずに、今の選挙を語ることはできない。
1. 「800万票の最強部隊」の喪失
かつて、戦後の日本で唯一、800万人の人間に同じことを考えさせ、同じ行動を取らせることができた天才がいた。創価学会の池田大作である。 自民党が選挙に勝てていたのは、高市早苗のような人気政治家がいたからではない。公明党(創価学会)という「実働部隊(オペレーション)」がいたからだ。
• 自民党支持層の実態: 金持ちで喧嘩をしない「上品な層」か、ネットで騒ぐだけの「脳みそが鼻水で流れているような層」の両極端しかいない。彼らは選挙の実務(ポスター貼り、電話かけ、送迎)を行わない。
• 公明党の役割: これまで、候補者が駅に立てば人が集まり、握手ができ、票に結びついたのは、すべて公明党が裏で緻密なロジスティクスを組んでいたからだ。
2. 安倍晋三の本当の置き土産「NISA民」
創価学会という最強の利益集団が弱体化する一方で、戦後初めて、それをも凌駕する規模の「利益集団」が誕生した。それこそが、安倍晋三が遺した最大のレガシー、「NISA(少額投資非課税制度)」である。
• 構造の変化: アベノミクスの頃は、円安になれば日本株が上がり、支持率も上がった。しかし今のNISAユーザー、特にサラリーマン層が買っているのは日本株ではない。「オルカン(全世界株式)」や「S&P500」だ。
• 心理の変化: 彼らにとって、日本の景気や日経平均はどうでもいい。自分たちの資産(米国株など)が増えることだけが正義だ。つまり、800万人の宗教的結束に代わり、「自分の財布」でつながる1000万単位の巨大な有権者グループが出現したのだ。
3. 江田憲司の決定的ミス:1200万票を敵に回した瞬間
この新しい「怪物」の恐ろしさを理解できず、リベラル(立憲民主党)は自爆した。 2021年の衆議院選挙、立憲民主党は当初、勝てる見込みがあった。しかし、直前で大失速した。その戦犯こそが江田憲司である。
• 致命的な発言: 江田氏はテレビ番組で、あろうことか「NISAなどの金融所得への課税強化」を示唆した。
• 結果: その瞬間、彼はNISA口座を持つ約1200万人の有権者を敵に回した。「自分たちの虎の子の資産に手を突っ込もうとする敵」だと認定されたのだ。
宗教による「800万票」の結束が薄れる中で、金による「1200万票(あるいはそれ以上)」の結束が政治を動かす。 安倍晋三はこの「NISA」という仕組みを作ることで、リベラルが手を出せない(手を出せば即死する)強固な岩盤を、死してなお日本の政治に残していったのである。
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この視点から見ると、現在の政治家の発言(増税議論や解散時期)が全く違った意味を持って見えてくるはずです。
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3. 観測気球としての報道と党内力学
実行不可能な解散計画が、なぜ現実的な選択肢であるかのように報じられたのか。ここで浮上するのが、政治の世界で多用される**「観測気球」**という高等戦術だ。意図的に情報をリークし、関係者の反応を見ることで情勢を判断し、党内のパワーバランスを操作しようとする。今回の報道はまさにこの種の戦術であり、追い詰められた首相官邸が放った一手なのである。
3.1. 報道の意図:党内の反応を見極めるための観測気球
永田町で出回る**「竹下登政治カレンダー」によれば、報道が出た3連休に官邸の予定は何も入っていなかった。これは情報をリークし、党内の反応をじっくりと観察するための絶好のタイミングだった。この観測気球の目的は、党内の意見がどちらに傾くかを見極めることにある。「よし、選挙で決着をつけよう」という主戦論と、「待ってくれ。今、野党との多数派工作を進めているのに、それを全部茶ぶ台返し**する気か」という慎重論・多数派工作優先論。この報道によって党内にさざ波を立て、どちらの声が大きくなるのかを測ることが、官邸の真の狙いであったのだ。
3.2. 高市首相の政治判断ミス:逸した「鉄は熱いうちに打て」の好機
そもそも、なぜ高市首相はこのような回りくどい手段に頼らざるを得なくなったのか。原因は、首相自身の政治的タイミングの判断ミスにある。最大の好機は、就任直後の11月にあった。人気が最高潮に達し、政治的勢いがあったあの時期にこそ、「鉄は熱いうちに打て」とばかりに解散に打って出るべきだった。しかしその機を逸したことで政治的資本は減少し、麻生太郎氏のような党内実力者たちは、法律を通すために地道な多数派工作に奔走せざるを得なくなった。その苦労を反故にするような解散話は、党内をまとめるどころか、深刻な亀裂を生みかねない。結果として、今になって党内の反応をうかがうための観測気球を上げるという、受け身の戦術に追い込まれたのである。

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4. 外部要因と野党の状況
国内の政治判断は、決して国内だけの論理で完結しない。経済や外交といった外部からの圧力、そして対峙する野党の状況もまた、首相の選択肢を大きく制約する。高市政権が直面しているのは、党内力学だけでなく、抗いがたい外部環境の壁でもある。
4.1. 経済・外交の制約:円安とアメリカの圧力
解散総選挙を極めてリスキーな賭けにしている外部要因は、主に二つある。第一に、1ドル=160円に迫る深刻な円安だ。これは実体経済に深刻な打撃を与えており、国民生活が圧迫される中での選挙は、政権与党にとって強烈な逆風となりかねない。
第二に、そして最も重要なのが、アメリカの意向である。来るべきトランプ政権を想定すれば、アメリカが日本の予算編成の遅れを許容するはずがない。防衛費増額など、アメリカが日本に求める要求を通すためには、年度内での予算成立は「マストのオーダー」なのだ。
この日米関係の本質を「植民地」と呼ぶことすら生ぬるい。日本は愛人ですらない。道端の「夜鷹以下(よたか)」だ。アメリカという男は、通りすがりに日本を捕まえて用を足し、財布から金を抜き取って去っていく。夜鷹が日本、愛人とはイギリス、イスラエルのこと、日本はベッドにも入れない。そんな相手の国内事情など考慮されるはずもなく、解散の自由度を根本から奪っている。
4.2. 日本維新の会の動揺:解散を恐れる「お通夜」状態
一方、野党第一党を窺う日本維新の会は、この解散報道にパニックに陥った。リークされた内部チャットの様子は、彼らが解散を歓迎するどころか、極度に恐れている実態を浮き彫りにした。その雰囲気は、まさしく**「お通夜」**のようだったという。支持率が低迷する中、今選挙になれば議席を大幅に減らすことは必至であり、党内は恐怖に震えている。この野党の体たらくは与党に有利な材料ではあるが、選挙を強行する決定的な理由にはなり得ない。

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結論
読売新聞が報じた「高市首相、解散検討」のニュースは、政権の強さの表れではない。むしろ、それは弱まった政治基盤と失われた党内掌握力を補うため、党内の力学を測る目的で放たれた、追い詰められた末の苦肉の策であった。
今後数日間、高市首相は、自らが招いた複雑な方程式を解くことを迫られるだろう。
- 公明党なしで衆議院の3分の2を獲得するという、エベレスト級に不可能な勝利条件
- 解散を求める「主戦論」と多数派工作を優先する「慎重論」に割れた自民党内の空気
- 年度内の予算成立を絶対視するアメリカからの無言の圧力
これは、彼女が解くべき方程式というより、もはや解のない数式である。この一連の騒動は、政権発足当初の好機を逸した 首相の座の、政治的な死の苦悶に他ならない。
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