2025/12/18（木）朝刊チェック：自民・共産タッグとかいう馬場と猪木のBI砲レベルの強力タッグが結成された件
序文：異様なメディアの総意、「維新キモい」
本稿は、菅野完氏の鋭い視点と論理を基盤に、日本維新の会を取り巻く昨今の政治状況を解き明かす。論点の核心は、左右のイデオロギーを超え、なぜ読売、朝日、毎日、日経といった大手全国紙がこぞって維新の会の振る舞いを「稚拙」「強引」、そして菅野氏の言葉を借りれば「キモい」とまで断じるに至ったのか、その深層を探ることにある。政治的スタンスの違いを超えて形成されたこの異様なメディアの総意は、単なる政策論争ではなく、より根源的な統治能力と倫理の欠如という問題を浮き彫りにしている。これは、日本の政治が抱える病巣を我々に突きつける、看過できない警告なのだ。
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1. 思想を超えた「強力タッグ」の誕生：共産党機関紙が自民党を絶賛する異常事態
政治の世界において「呉越同舟」は稀である。ましてや、イデオロギー的に水と油の関係にある政党が手を組む事態は、よほど深刻な共通の脅威が存在することの証左に他ならない。今、大阪の地で、日本共産党と自由民主党という、本来あり得ないはずの連携が生まれている。この異常事態は、維新の会の政治手法がいかに常軌を逸しているかを何よりも雄弁に物語っている。
- 菅野氏が興奮気味に指摘するのは、共産党の機関紙「しんぶん赤旗 日曜版」に掲載された、あるスクープ記事の驚くべき紙面構成である。
- 自民党への賛辞: タブロイド版の一面トップ、全7段組の記事のうち、実に上部3段が「大阪府議会における自民党の活躍」の紹介に費やされている。これは、共産党の機関紙が、宿敵であるはずの自民党の功績を大々的に称賛するという、前代未聞のレイアウトだ。
- 信じがたい構造: 記事の内容はさらに衝撃的だ。維新が組織的に行っていたとされる「国保逃れ疑惑」を最初に議会で追及し、暴露したのは自民党の府議会議員であり、その手柄を赤旗が称賛しているのである。
- 事実上の「連携プレー」: この記事は、自民党の追及を基に赤旗が裏付け取材を行った結果として成立している。つまり、維新という共通の敵を前に、**自民党が火をつけ、共産党が油を注ぐという事実上の「自民・共産連携プレー」**が展開されているのだ。
- 菅野氏の分析によれば、この赤旗の異例の報道は、大阪において「野党」の立場に置かれた自民党の戦いぶりを高く評価する文脈で読み解くべきだという。
- 野党のお手本: 菅野氏は、かつての民主党政権時代（2009-2012年）を「野党のお手本」として引き合いに出す。当時、自民党は首相に「ルーピー（アホ）」とヤジを飛ばし、その言葉をプリントした「愚か者め」Tシャツを公式グッズとして販売するなど、品性を度外視した徹底的な闘争を見せた。
- 品性より実を取る覚悟: 今の大阪自民党は、まさにあの頃の気迫で「共通の敵」である維新と対峙している。赤旗による異例の称賛は、その「野党としての仕事」ぶりに対する、思想を超えた評価の表れなのだ。このあり得ない連携は、維新の疑惑がいかに深刻なものであるかを物語っている。その核心は、彼らが掲げるスローガンそのものを根底から覆す、欺瞞に満ちた構造にあった。
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2. 「身を切る改革」の正体：府民に日本一の負担を強いて議員だけが逃げる搾取構造
「身を切る改革」。このスローガンは、政治家が自らの特権を削り、痛みを分かち合うという高潔なイメージを喚起し、多くの有権者の支持を集めてきた。しかし、その実態は理念とは真逆の統治哲学、すなわち「欺瞞」に他ならない。これから明らかにする「国保逃れスキーム」は、彼らが切っているのが自らの身ではなく、他ならぬ住民の身であることを無慈悲に証明している。
- 菅野氏が赤旗の記事を引用して解説する、維新議員による「国保逃れ」の手口は、制度の穴を突いた巧妙かつ卑小なものであった。
- 前提: 議員は高額な報酬を得ているため、所得に連動する国民健康保険（国保）の保険料も高額になる。
- 手法: この高額な負担を回避するため、議員は一般社団法人を設立し、自らその「理事」に就任する。
- 仕組み: その法人から受け取る役員報酬を**「極端に言えば給与ゼロ」「数百円」**という名目上の金額に設定する。これにより、報酬額に連動する社会保険（社保）に切り替え、本来支払うべき保険料負担を最低水準にまで圧縮するのだ。
- 本質: 菅野氏が**「田舎の人間が考えつくようなこ賢い仕事」「脱法行為」**と断じるように、これは公人としての倫理観が著しく欠如した、極めて悪質な手口である。
- このスキームは単なる脱法行為を超え、計算され尽くした政治的背信行為である。その悪意の深さを理解するためには、まず維新が統治する大阪府民に課せられた残酷な現実を直視せねばならない。
- 第一に、動かぬ事実がある。「過去10年間、国民健康保険の掛金の全国最高値はずっと大阪府である」。これは、長きにわたり維新が府政を主導してきた結果、府民が背負わされている現実の重荷だ。
- 第二に、この極度の負担を強いるシステムの設計者であり、維持管理者こそが、日本維新の会である。
- そして第三に、そのシステムの設計者である維新の府議会議員自身が、府民に強いている重圧から逃れるため、先述の「こ賢い」スキームを使い、制度から抜け出しているのである。
- この構造から導き出される結論は一つしかない。菅野氏の痛烈な言葉を借りれば、**「そのスキームで特をした人のケツを、一般の大阪府民が銭を出して拭いてんねん」ということだ。高所得者である議員が制度から抜けることで生じる歪みを、何も知らない府民が日本一高い保険料で穴埋めさせられている。これは「搾取」以外の何物でもない。彼らが実践しているのは「身を切る改革」などではない。まさしく「他人（住民）の身を切るおっさん」**に他ならないのだ。
- こうした欺瞞に満ちた体質は、党レベルの問題に留まらない。維新が支援し、誕生させた首長の行政運営にも、その歪んだDNAは色濃く伝染している。
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3. 詐欺的体質の伝染：兵庫県知事の「牡蠣応援」に隠された善意の搾取
政治家の資質は、その統治スタイルに如実に反映される。日本維新の会が内包する「能力の低さ」や「欺瞞性」は、彼らが支援する首長の行政運営にも影を落とす。その典型例が、斎藤元彦・兵庫県知事が見せた「牡蠣応援プロジェクト」を巡る一連の言動である。そこには、善意を悪用する詐欺的な手口と、行政の長としての致命的な能力不足が露呈していた。
- 菅野氏が「詐欺」と断じるこのプロジェクトの実態は、まさに善意の搾取と呼ぶべきものだった。
- 表向きの目的: 「牡蠣の大量死で困窮する生産者を応援する」という、共感を呼ぶ美名の下、ふるさと納税による寄付金が募集された。誰もが、その寄付金は苦しむ生産者の元へ直接届けられるものと信じた。
- 真の使途: ところが、記者会見で明らかになったのは、集められた寄付金が生産者への直接支援ではなく、「西播磨地域の中長期的な観光コンテンツの磨き上げ」という県の行政経費に充てられるという事実だった。
- 悪質性の本質: この手法の悪質性を、菅野氏は**「難病の息子の手術代を集める募金で、自分の家の網戸を直すようなもの」**という強烈な比喩で喝破する。人の不幸を看板に掲げて金を集め、全く別の目的（自分たちの事業）に流用する。これは行政として許される一線を遥かに超えている。
- 知事の無能力は、一つの失言ではなく、わずか数分の質疑応答の中で起きたスローモーションの論理破綻によって証明された。
- **まず、**知事はプロジェクトを「観光基盤の強化」という県の基幹事業として提示し、その財源を寄付金で賄うと説明した。**しかし、**記者から「基幹事業を不安定な寄付金で賄うのか」という当然の疑問を呈されると、知事は防衛的に「県の基幹事業は安定した税金で賄う」と反論してしまった。
- その一言で、彼は自らの前提を完全に覆した。不安定な寄付金を基幹事業に使うという無責任を認めるか、そもそもこの事業が基幹事業ではなかったと認めるかの自己矛盾に陥ったのだ。これこそが、菅野氏が指摘する「言うてることが言うてることとちゃう」状態であり、複雑な行政課題を整理し、一貫した論理で説明責任を果たすという、首長に求められる最低限の能力すら欠如していることの動かぬ証左なのである。
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4. 結論：「キモい」は感情論ではなく、的確な診断である
維新の「国保逃れ」スキーム、そして維新が支援する兵庫県知事の詐欺的な行政運営。これらは単発のスキャンダルではない。彼らの掲げる「改革」というスローガンが、実際には住民に負担を押し付け、自分たちの利益を確保するための欺瞞的なシステムに過ぎないという、党の体質そのものが表出した症状である。
序文で触れた「異様なメディアの総意」は、決して偶然生まれたものではない。イデオロギー的に対立するはずの自民党と共産党が維新追及で連携し、維新が擁立した知事が公然と詐欺的な資金集めを行い、その論理がわずか数分で破綻する――。こうしたおびただしい証拠が積み重なった結果、維新の欺瞞と無能力はもはや無視できないレベルに達したのだ。
全国紙が維新の振る舞いを「稚拙」「強引」と評し、菅野氏がそれを「キモい」と喝破するのは、単なる感情的な誹謗中傷ではない。それは、美辞麗句の裏に隠された、倫理的・知性的な誠実さの完全なる欠如に対する、最も的確な診断なのである。有権者はその正体を見抜き、厳しい審判を下す時が来ている。
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