【真相】若者の自民党支持は「絶望の合理的選択」。マンハイムで解く | 菅野完 朝刊チェック 文字起こし
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リベラルな若者が自民党に投票するのは「洗脳」ではない――マンハイムの世代論が示す残酷な合理性

2/18(水)朝刊チェック:「リベラルな価値観を持つ若者の大半が自民党に投票した」ことは至極当然だ。

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記事の要約と図解

【結論】 リベラルな価値観(選択的夫婦別姓賛成など)を持つ若者が自民党に投票するのは、「無知」や「洗脳」の結果ではなく、現代日本社会を生き抜くための極めて合理的かつ冷徹な生存戦略である。

【ポイント3選】

  1. 世代論の誤謬:若者を理解するには、孔子の「ライフステージ論」ではなく、マンハイムの「世代的景観(原風景)」で見る必要がある。
  2. 恐怖の原風景:高齢層が見た「右肩上がり」の日本と違い、若者は生まれた時から「失敗即死」「賃金停滞」の日本しか見ていない。
  3. 現状維持への逃避:社会を変えるリスクよりも、沈まないための「現状維持(自民党)」を選ぶことは、彼らにとって唯一の正解である。

■ 【徹底解説】なぜ「リベラルな若者」は自民党に投票したのか?~カール・マンハイムで解く「絶望の合理的選択」~

先日、ある衝撃的な、しかし私にとっては「至極当然」とも言える統計データが話題になりました。

「選択的夫婦別姓に賛成」「同性婚に寛容」といった、いわゆるリベラルな価値観を持つ若者の大半が、選挙では自民党に投票していたという事実です。

これを受けて、リベラル界隈のおじさん、おばさんたちは蜂の巣をつついたような騒ぎになっています。「なぜだ」「説明がつかない」「若者は無知だからだ」「メディアに洗脳されているんだ」と。

はっきり言いますが、その分析はすべて間違っています。
「若者はバカだから自民党に入れた」などと言っている時点で、あなた方は選挙に勝てません。永遠に負け続けます。

彼らの行動は、無知ゆえの過ちではありません。
今の日本社会という「地獄」を生き抜くための、極めて冷徹で、悲しいほどに「合理的」な判断なのです。

今日は、社会学者カール・マンハイムの理論を補助線に、若者たちが自民党を選ばざるを得なかった「真の理由」を解き明かします。

1. 「世代」を読み解く鍵:孔子からマンハイムへ

まず、多くの大人が陥っている「世代論」の勘違いから正さなくてはなりません。

古い世代論:孔子の「ライフステージ論」

皆さんが「世代」について語るとき、無意識に使っているのが孔子の『論語』にあるような考え方です。

「吾十有五にして学に志す、三十にして立つ、四十にして惑わず……」

これは「10代とはこういうもの、20代とはこういうもの」という、肉体の成長と加齢に基づいた「ライフステージ論」です。
この理論の根底には、「1980年の20代も、2020年の20代も、人間としての本質的な成長プロセスは同じだ」という前提があります。だから「俺が若い頃はこうだった、だから今の若者もこうあるべきだ」という説教が生まれるわけです。

しかし、20世紀前半のドイツの社会学者、カール・マンハイムは、これに異議を唱えました。

新しい世代論:マンハイムの「同時代体験」

マンハイムが提唱したのは、「青春時代にどのような社会風景(原風景)を見たかによって、その世代の精神は規定される」という考え方です。これを「コーホート分析」とも言います。

つまり、「10年前の20代と、今の20代は、全く別の生き物である」という前提に立たなければならないのです。

肉体的な年齢が同じでも、彼らが呼吸し、目撃してきた「社会の空気」が決定的に違う。この視点を持たずに「最近の若者は」と語ることは、ナンセンス以外の何物でもありません。

2. 決定的に異なる「原風景」

では、今の高齢層(60代~80代)と若年層(20代~30代)が見てきた「原風景」はどう違うのでしょうか。ここ投票行動の謎を解く核心があります。

高齢層が見た「夢」

今の60代、70代の皆さんが10代、20代だった頃を思い出してください。
そこにあったのは、「黙っていても明日は今日より良くなる日本」でした。

  • 会社に入れば、年功序列で給料は勝手に上がる。
  • 頑張れば報われる。
  • 何もしなくても経済は右肩上がり。

「何かチャンスを掴めば、上にいける」という希望が、空気のように存在していた時代です。あなた方の成功体験は、この時代のボーナスステージによって支えられています。

若者が見ている「絶望」

一方で、今の20代、30代が見てきた景色はどうでしょうか。
彼らが物心ついた時から、日本はずっと「失われた30年」の中にいます。

  • 生まれた時から不景気。
  • お父さん、お母さんの給料は上がらない(むしろ下がっている)。
  • 非正規雇用が当たり前。
  • 一度レールから外れれば、二度と這い上がれない。

彼らの原風景にあるのは、「頑張っても報われない」「少しのミスで奈落の底に落ちる」という現実です。
「肯定歩合」がゼロどころかマイナス。「チャンス」なんてどこにも転がっていない。あるのは「落とし穴」だけ。

これが、マンハイムの言う「世代を規定する原風景」の違いです。

3. データが示す「萎縮」と「恐怖」

この感覚は、具体的なデータとしても現れています。こども家庭庁の「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(令和5年度)」を見てみましょう。

絶望的な数字「4.4%」

「自国の将来は明るいと思いますか?」という問いに対し、アメリカ、ドイツ、フランス、スウェーデンといった国々の若者は20%前後が「明るい」と答えています。
対して、日本の若者はどうだったか。

たったの「4.4%」です。

さらに深刻なのは、「自分自身への評価」も異常に低いことです。「自分は大人だと思う」「自分は社会の役に立っている」といった項目でも、日本だけが突出して低い。

「海外へ脱出」すら選べない

普通なら、「国の将来が暗い」なら「自分が優秀なら海外へ行こう」となります。しかし、日本の若者は自己評価も低いため、「外に出る」という選択肢すら持てない。
彼らは、沈みゆく泥舟の上で、恐怖に震えながら身を縮めているのです。

これは「覇気がない」とか「夢がない」といった生易しい話ではありません。
「恐怖で動けなくなっている(フリーズしている)」のです。

4. 自民党支持は「現状維持」という唯一の生存戦略

ここまでの話を総合すれば、なぜ彼らが自民党に投票したのか、その答えは明白です。

彼らにとって、政治に求めるものは「改革」でも「夢」でもありません。
これ以上、生活を悪くしないための「現状維持」です。

変化への恐怖

「社会を変える」と叫ぶのは、体力のある年寄りの道楽です。
恐怖で縮み上がっている若者にとって、「変化」とは「リスク」と同義です。
「何かを変えようとして失敗したら、すべてを失う」という強迫観念が彼らを支配しています。

  • 野党(変化): 何が起こるかわからないリスク。さらに悪くなるかもしれない。
  • 自民党(現状維持): 腐っているかもしれないが、少なくとも「今すぐ死ぬこと」はないかもしれない。

究極の消去法です。
彼らが積極的に自民党を支持しているわけではありません。
「現状維持以外の答えを出してはいけない」と、この社会に教育され、飼い慣らされてきたのです。

5. 結論:若者を責めるな、政治の敗北を直視せよ

リベラルな価値観を持ちながら、保守政党に投票する。
この矛盾した行動を笑う資格は、大人たちにはありません。

若者が「現状維持」にしがみつかざるを得ない社会を作ったのは誰ですか?
70年間、権力の座に居座り続け、若者に「希望」ではなく「恐怖」を植え付け、飼い慣らしてきた自民党政治。
そして、それに対抗する有効な選択肢を示せず、信頼を勝ち取れなかった野党。

これは「政治全体の敗北」です。

今の20代、30代の若者は悪くありません。彼らは、与えられた過酷な環境の中で、必死に最適解(自民党への投票)を選んだに過ぎないのです。

もし、この状況を変えたいのなら、「若者は無知だ」と切り捨てるのをやめることです。
彼らが抱える根源的な「恐怖」を理解し、それを取り除くための具体的な希望を提示し続けること。
それ以外に、この国の政治が信頼を取り戻す道はありません。

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