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【第2回】怨念戦隊ルサンチマンの誕生:岩波文庫「白帯」と非モテの青春が育んだ狂気の教養論

A cinematic and highly detailed illustration contrasting two worlds. In the blurry, brightly lit background, a generic modern high-rise cityscape (representing the illusion of wealth). In the sharp, detailed foreground, an old, atmospheric, slightly dark Japanese okonomiyaki restaurant in a narrow alley. A beautiful, mature woman with the subtle elegance of a former geisha is expertly cooking on a hot iron griddle. She is serving a cold glass of beer. The mood is sophisticated, nostalgic, and slightly cynical. Dark cinematic lighting with warm glowing iron plate. 8k resolution.


5/28(木)朝刊チェック:高市早苗はもう維新を必要としていない。


【結論】
非モテのルサンチマンは時に真の教養と社会を見抜く知性を育む。港区女子という虚像を暴き、豊島区に潜む「真の富裕層」の生態、そして東京発祥のお好み焼きに宿る「粋筋」の美学まで、菅野完の怨念が東京の階級社会の深淵を解剖する。
【ポイント3選】

怨念戦隊ルサンチマン:満たされない非モテの青春と嫉妬こそが、古典を読み解く真の原動力となる。
港区の虚像と豊島区の真実:「仕事って何?」と問う、代々働かない本物の富裕層は港区ではなく豊島区に生息する。
お好み焼きの粋筋:お好み焼きはヤクザや芸者、アパレル出身者など「本業であかんようになった人間」が焼くのが一番うまい。
たもっちゃん
たもっちゃん

「この第2回のコラムからフラッと読み始めてもらうのも、そら別に構いません。一つの読み方ではありますからね。

今回はね、私の個人的な非モテの恨み……『ルサンチマン』から始まって、港区に群がる成金の虚像やら、豊島区の暗がりに潜む本物の富裕層、さらには東京発祥の『お好み焼き』に宿る粋筋の美学やら、ちょっと俗っぽくておもろい話をしてますわ。

ただね、それって映画で言うたら、途中のスピンオフのエピソードだけ見て喜んでるようなもんでね。

なんで私がこんな怨念を抱えて世間を斜めから見てるのか。そして、その冷たい視線の先にあるもっとデカい病理……つまり『多数決さえすれば民主主義や』と無邪気に信じ込んでる愚民が、どうやって兵庫県政みたいな『全体主義の実験場』を作り出して社会の底を抜いていくのか。その一番のホラー部分の構造については、第1回でみっちり解剖してるんです。

権力に振り回される『状況の奴隷』にならずに、この社会が崩れていく様をちゃんと見据えたいと思うなら、第1回で語った『リベラリズムという防壁』の話を知っとかんと。そうじゃないと、今回の話もただの『ひねくれたおっさんの僻み』と『東京のグルメ語り』で終わってしまいますからね。

別に強制はしませんけど、本気でこの社会の現在地と、文化の裏で蠢く人間の生々しい本質を知りたいという奇特な方は、ちょっとだけ遠回りして第1回から目を通してもらう方が、結果的にこの先の話の解像度もグッと上がるんちゃうかなって気はしますね。」

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怨念戦隊ルサンチマンの誕生:岩波文庫「白帯」と非モテの青春

人間が真の教養を身につける動機とは何か。それは決して、高尚な理念や世界平和のためではない。多くの場合、周囲の人間に対する猛烈な嫉妬と、満たされない自己顕示欲の裏返しである。菅野は大学に入学した息子に対し、「1年で読み切れ」という手紙とともに、岩波文庫の「白帯(思想・哲学・社会科学)」のラインナップを大量に送りつけたという。

ホモ・サピエンスなら読むべき「乾いた古典」の教養

マルクスの『資本論』、ホッブズの『リヴァイアサン』、モンテスキューの『法の精神』、ロックの『統治二論』。これらは単なる過去の遺物ではない。「ホモ・サピエンスとして二足歩行している限り、読んでおかなければならない人類のOS」である。しかし、菅野は岩波文庫のラインナップを眺めながら、ある決定的な事実に気付く。そこにはハンナ・アーレントの『全体主義の起原』や『人間の条件』が含まれていないのだ。

「岩波の白帯に入ってないのよ、アーレントが。でもね、分かる気がする。アーレントって『乾いてない』のよ。ウエッティなところがある。情念が入りすぎてるから、岩波の白帯の乾いた美意識には合わへんのやろな。文庫にするならちくま学芸文庫向きですよ。でもクラウゼヴィッツの『戦争論』は入ってる。あの『乾いた古典』を18歳の頃に頭に叩き込んどくのは絶対重要やから。息子への手紙の末尾には『俺は16までに読んだがな』ってマウント書いときました。かかってこいと」[▶ 1:05:38]

嫉妬とルサンチマンが「知の刃」を研ぎ澄ます

彼が16歳にして乾いた古典を貪り読んでいた理由は、知的好奇心などという美しいものではない。純度100%のルサンチマンである。同級生たちが放課後にあぜ道で女の子と自転車の二人乗りをし、ほっぺたをつつき合いながら青春を謳歌している横で、菅野はその輪に入ることができない「エレファントマン扱い」の非モテであった。圧倒的な敗北感と孤立。その呪いが、彼をお笑いと岩波文庫へと駆り立てたのである。

「もう女の子と自転車の立ち漕ぎしてる奴ら見ながら、あぜ道の小屋の脇で爆竹詰めてパーン言わしたいぐらいムカついてたからね。俺は『怨念戦隊ルサンチマン』やったんですよ。お前らええよな、言うて。俺にはそんな時間なかったから、ずっと本読めてたわけです。中高生に告ぐ。こんな大人になっちゃいけないよ。でもね、怨念戦隊ルサンチマンは常に入隊希望者募集中です。本部は五反田にありますから」[▶ 1:14:02]

港区女子は田舎者の妄想:東京の「真の富裕層」は豊島区に生息する

この「怨念」の視座は、現代の階級社会の虚像を極めて正確に撃ち抜く。SNS全盛の今、世間では「港区女子」「港区男子」なる言葉が持て囃され、タワーマンションや高級シャンパンが富の象徴として消費されている。しかし、そうした表層的な記号に群がるのは、金持ちの「コスプレ」をした田舎者の妄想に過ぎない。

「仕事って何?」おじいさんの代から働かない本当の金持ち

真の階級社会において、本当の富裕層は港区の喧騒になど近づかない。彼らがひっそりと、しかし確固たる地盤を築いて生息しているのは、文京区でも世田谷区でもなく、「豊島区」の一部エリアである。

「ネットで港区女子とか言うて、港区に住んでる人が金持ちみたいな風潮あるやんか。あれ田舎の人の妄想よね。ほんまの金持ちって、大塚と巣鴨と駒込、池袋の線路沿いの大和郷(やまとむら)を挟んだ東西1kmの一角に住んでるよ。金利だけで毎月3000万入ってくるから、おじいちゃんの代から『仕事』というものをしたことがない家系。小学校に入って『お父さんの仕事は何?』って聞かれた子供が、『仕事って何?』って答える世界やねん」[▶ 1:20:18]

港区公立中学の「エコノミーですか?」という貧しさ

成金と真の富裕層の違いは、その「躾(しつけ)」に如実に現れる。菅野は、港区の公立中学校における海外修学旅行の説明会で起きたという、ある都市伝説的なエピソードを引き合いに出す。

「港区の公立中学の修学旅行の説明会でさ、クソガキが手ぇ挙げて『先生、飛行機はエコノミーですか? ビジネスじゃないんですか?』って聞いたらしいんよ。これ聞いて『さすが港区、金持ちやな』って思うでしょ? 違うねん。俺から言わせれば、豊島区のほんまの金持ちの子供は、そんなアホな発言したら他所から怒られるって小さい時に躾けられてるから、そんなこと言う余地がない。港区のエコノミー発言は、単なる成金の貧しさの証明でしかないんですよ」[▶ 1:25:04]

お好み焼きの真理:ヤクザと芸者が焼く「東京発祥」の粋

そして、大塚・巣鴨界隈の奥深さを語る上で外せないのが「大塚三業通り(さんぎょうどおり)」の存在である。三業とは、料理屋・待合・芸者屋という接客・サービス業(第三次産業)を指す。この歴史的文脈が、日本人のソウルフードである「お好み焼き」の真理を紐解く鍵となるのだ。

大塚三業通りと「レモン」が証明する割烹的文脈

関西人である菅野は、あえて「お好み焼きは大阪発祥ではなく、浅草などの東京発祥である」という説を支持する。その根拠が、大塚三業通りに存在するお好み焼き屋「レモン」の存在である。

「俺はずっと言うてるけど、お好み焼き屋の正しい形態は、ヤクザの元女とか、やめた芸者さんとか、芸人さんが、本業であかんようになって仕方なくやる店が一番うまいねん。『お好み焼き屋になりたい』と思ってやる店はウマないのよ。大塚の『レモン』でおばちゃんが焼いてたお好み焼きを食うと、これが原形やって分かる。粋筋(いきすじ)の人間が焼くからこその色気がある。ビール1杯だけ注いでもろて、『お姉さんも一杯どうですか』『あら、いただけるの』って。あれはもう割烹の世界なんですよ」[▶ 1:28:41]

関西の原風景(ラムネと豚玉)と東京の粋筋の対比

関西人にとってのお好み焼きは、タオルを頭に巻いたおばちゃんが豚玉を焼き、近所のオッサンが昼からビールを飲みながら甲子園中継を見ている、あの「騒がしい原風景」である。しかし、ルーツである東京のお好み焼きには、花柳界の挫折と粋な色気が染み付いている。近年、アパレル(セレクトショップ)を辞めた夫婦がスーパーの材料だけで始めるお好み焼き屋が美味しいのも、彼らが「服屋としてあかんようになった粋筋の人間」だからである。

「お好み焼きって原価かからへんからね。特別な仕入れルートもいらん。スーパーの材料と鉄板だけで成立する錬金術や。そやからこそ、美味しいか美味しくないかの差が激しい。粋筋の人間が焼かなければ、美味しくない宿命にある食べ物なんですよ。俺がここ(配信部屋)に鉄板置いて油ピューって引いてやったら、絶対儲かると思うで(笑)」[▶ 1:36:37]

圧倒的なルサンチマンから出発した教養論は、港区の虚栄を剥ぎ取り、大塚三業通りの歴史を炙り出し、最終的にお好み焼きという鉄板の上の真理へと着地した。この一見すると無軌道な連想ゲームの中にこそ、人間の本質と社会の階層を見抜く菅野完の恐るべき眼力が隠されているのである。

たもっちゃん
たもっちゃん

「ここまで読んで、『なるほど、港区の金持ちなんて虚像で、ルサンチマンこそが文化や社会の裏側を動かしてるんやな』で満足してページを閉じるなら、そら別に構いません。一つの事実ではありますからね。

ただ、そういう人間のドロドロした情念すら持たない、もっと底なしの『虚無』が国家権力のど真ん中に座り続けたら、次は何が起きるか。政治の世界から国家観も政策も消え失せて、ただただ『他者の心を逆撫でするための嫌がらせ』が、国家の根幹を蝕んでいくんです。

腹心と呼べる味方が誰一人おらんようになって、一般家庭がナフサを買いだめするなんて妄想を語る自称・軍師を頼りにし、長年連れ添った連立の相棒すら『相手が一番嫌がるから』というだけの理由でポイ捨てする。そんな空洞化した権力者のペテンが、誰にも殴られることなくまかり通る。しかも、それに対抗すべき野党やメディアも、法案が通った後からピーピー騒ぐだけの『リアクション芸人』に成り下がってるんやから世話ないですわ。

この『権力中枢のモラハラ体質』と『リベラルの知性の劣化』の具体的な症状については、続く第3回でみっちり解剖してます。

東京の階級社会や文化の裏側を知っただけで終わらせず、今の日本の政治がいかに恐ろしい『空っぽの人間たち』で回っているか、もう一段深く知りたいという奇特な方は、そのまま第3回も覗いてみてもらうと、より絶望の解像度が上がるんちゃうかなと思いますわ。」

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