高市トレードの嘘と選挙制度の真相。中選挙区制復活は自殺行為 | 菅野完 朝刊チェック 文字起こし
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ネット時代の選挙制度論:なぜ「中選挙区制」は危険なのか

2/17(火)朝刊チェック:思考がまとまらないので今日は雑談のみ

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記事の要約と図解

【結論】 現在の株高を「高市トレード」と囃し立てるのは単なる錯覚であり、実態は米国市場への追随に過ぎない。また、国会人事の迷走やネット時代の選挙制度論議において、安易な「中選挙区制待望論」や「完全比例代表制」は、ポピュリズムと政治の劣化を招く危険な劇薬である。真に必要なのは、民意の量的反映(比例枠の先行決定)と、地べたを這う代議士の質(小選挙区での活動)を両立させるハイブリッドな改革だ。

【ポイント3選】

  1. 市場の冷静な分析:日経平均の上昇は自民党総裁選(高市氏)への期待ではなく、米国のトランプ相場への連動であり、政策不在の現状では論評に値しない。
  2. 人事の劣化:衆院副議長人事における泉健太氏推挙の迷走は、比例復活組が要職に就く矛盾と、野党第一党の人材枯渇を露呈している。
  3. 制度改革の核心:「中選挙区制」はネット時代において奇人・変人を量産する欠陥システムであり、安藤百福が語った「落選の痛みがわかる代議士」を育てる小選挙区の精神こそ守るべきである。

■ ネット時代の選挙制度論:なぜ「中選挙区制」は危険なのか

体調が万全ではない。熱は下がったものの、思考の霧が晴れないような感覚が残っている。だが、そんな状態だからこそ、世の中の「空騒ぎ」がいかに滑稽であるかが、透けて見える瞬間があるのだ。

昨日今日の日経平均の乱高下を見て、YouTubeやSNSでは「高市トレードだ」「いや石破ショックだ」と、さも日本の政治が市場を動かしているかのような言説が溢れかえっている。断言するが、これらはすべて寝言である。

今日は、この市場の勘違いから入り口として、現在進行系で進んでいる国会人事の迷走、そしてその根底にある「選挙制度」という国家の屋台骨について、少し冷めた頭で論じてみたい。

幻想の「高市トレード」と市場の現実

まず、足元の経済状況について整理しておこう。ここ数日の日経平均の上昇を見て、一部の保守層やネット論壇が「高市早苗への期待感で株が上がった」などと騒いでいるが、ちゃんちゃらおかしい話だ。

政策なきところに相場なし

冷静にチャートを見れば一目瞭然である。日本株が上がっているのは、単にアメリカの株価が上がっているからに過ぎない。いわゆる「トランプ・トレード」、共和党政権への期待感で米国市場が牽引され、それに日本市場が金魚のフンのようについて行っているだけだ。

そもそも、高市氏はまだ何も具体的な経済政策を発表していない。アベノミクスの時を思い出してほしい。安倍晋三という政治家が巧みだったのは、ワシントンでの会談や国際会議の場を利用して、世界に向けて政策パッケージをぶち上げた点にある。まだホテルにも入っていない、入り口に立っただけの段階で「セックスの相性が良かった」と語るようなもので、論評に値しないのだ。

昨日は米国市場がプレジデントデーで休場だった。そのタイムラグと需給の関係で動いている数字を、日本の政局と無理やり結びつけるのは、知性への冒涜である。

国会人事の劣化:副議長は誰がやるべきか

政治の劣化は、市場の解釈だけでなく、国会の人事にも如実に表れている。明日召集される国会で、衆議院の正副議長を選出する必要があるのだが、ここで野党第一党である中道改革連合から、泉健太氏の名前が挙がっているという。

比例復活議員が「三権の長」を担う矛盾

これは極めて不可解かつ、筋の悪い話だ。
本来、議長・副議長といった要職は、議会制民主主義の重みを体現するベテランが就くべきポストである。期数で言えば、公明党の赤羽一嘉氏(10期超)などが順当だろう。あるいは立憲なら野田佳彦氏だが、彼は元首相であり、三権分立の観点から行政府の長を経験した人間が立法府の長に座るのは好ましくないという不文律がある。

そこで泉健太氏にお鉢が回ってきたわけだが、彼は小選挙区で勝った人間だ。「比例選出の議員は、議長や副議長になってはいけない」。私はそう考えている。
なぜなら、小選挙区で有権者の審判を勝ち抜いていない人間が、立法府の権威を背負えるのかという根本的な問いがあるからだ。本来なら期数を重ねたベテラン(例:公明党の赤羽氏など)がやるべきですが、党派の事情や人材不足で適任者がおらず、消去法で泉氏になってしまうという「行き詰まり」があります

核心:ネット時代の「中選挙区制」待望論を斬る

こうした現状を見て、「今の小選挙区制が悪いんだ」「昔の中選挙区制に戻せ」という声が、右からも左からも聞こえてくる。特にネット上では、この意見が賢しらに語られることが多い。

だが、はっきり言っておく。
「ネット全盛の現代において、中選挙区制を導入するのは自殺行為である」と。

注目を集めたもん勝ちの「地獄」

中選挙区制を美化する人間は、現実が見えていない。ネットの影響力が肥大化した現代で、定数が3も4もある選挙区を作ればどうなるか。
答えは簡単だ。「目立ったもん勝ち」の奇人・変人が大量に立候補し、当選するようになる。

実例はすでにある。地方議会を見てみればいい。
東京近郊の区議会議員選挙、これらは実質的な中選挙区(大選挙区)制だ。その結果、何が起きているか。江東区や葛飾区の惨状を見ればわかるだろう。YouTuberあがりの活動家や、極端なワンイシューを叫ぶポピュリストたちが議席を掠め取っていく。
かつての中選挙区制は、自民党内の派閥同士が切磋琢磨するという機能を持っていたが、今の時代にそれをやれば、承認欲求モンスターたちの見本市になるだけだ。

イスラエルを見てみればいい。あそこは完全比例代表制に近いが、その結果、ネタニヤフ首相は政権維持のために極右の小政党と連立を組まざるを得なくなっている。少数政党がキャスティングボートを握り、国政を振り回す。これが「民意の正確な反映」の成れの果てだ。

提言:理想的な選挙システムとは何か

では、どうすればいいのか。私は、小選挙区制の良さと、比例代表制の良さを組み合わせた、新しいハイブリッドなシステムを提案したい。

「菅野流」選挙制度改革案

現状の制度の欠点は、小選挙区における「死票の多さ」と、選挙戦終盤で勝ち馬に乗ろうとする「バンドワゴン効果」による民意の歪みだ。これを是正するために、以下の手順を提案する。

  1. 先に「比例代表」選挙を行う
    まず、全国をいくつかのブロックに分け、比例代表の投票によって「各党が獲得すべき議席数」を確定させる。これにより、国民がどの政党を支持しているかという「量的な民意」をまず固定する。
  2. 小選挙区の「惜敗率」で当選者を埋める
    次に、確定した議席枠の中に、小選挙区で戦った候補者を、惜敗率(どれだけ善戦したか)の高い順に当てはめていく。

この方式の肝は、「小選挙区での戦い」を必須にする点にある。
比例単独の名簿を許さず、全員が必ずどこかの地域(小選挙区)で泥臭い選挙戦を戦わなければならない。しかし、当落の総数は政党支持率で決まる。これなら、地盤培養の努力と、マクロな民意の反映が両立できる。

代議士は「地べた」を這え

なぜ、私がここまで「小選挙区的な活動」にこだわるのか。それは、政治家という生き物の本質に関わるからだ。

日清食品の創業者、安藤百福が残した至言がある。

「私は落選した代議士が好きだ。選挙区に腰を落ち着けて市民の声を聞く。人の心の痛みがわかるようになる。今度当選して出てきた時は、人間が一回り大きくなっているのがわかる。いつも当選している代議士は、天下国家を理屈だけで論じている。国民の本当の痛みを、ついに知ることがない」

これこそが、代議士のあるべき姿だ。
ネットで威勢のいいことを叫び、空中戦だけで票をかすめ取るような政治家に、国民の生活の痛みなどわかるはずがない。
どぶ板を踏み、有権者に頭を下げ、理不尽な陳情を聞き、それでも這いつくばって国会に戻ってくる。そうやって「人間」を知った者が、その中から総理大臣を選び、天下国家を論じる。

衆議院(House of Commons)とは、直訳すれば「庶民の家」である。
高尚な理想論や、ネット上の「論破」ごっこではなく、地べたのリアリティを知る人間だけが、この国の舵取りを許されるべきなのだ。

世界は政治だけで動いているわけではない。しかし、その政治を決めるシステムが狂えば、社会の底が抜ける。
高市トレードなどという幻影に踊らされることなく、我々はもっと足元の、制度の設計図について議論を深めるべき時が来ている。

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